Menu

【研究発表】ヘアカラーリングによる主観的幸福感と表情変化の関連を検証した共同研究成果を日本心理学会第90回大会で発表しました

2026年9月8日

  1. ホーム
  2. トピックス
  3. 【研究発表】ヘアカラーリングによる主観的幸福感と表情変化の関連を検証した共同研究成果を日本心理学会第90回大会で発表しました

ホーユー株式会社と株式会社オルチェ人間情報技研との共同研究成果を、日本心理学会第90回大会にて発表しました。
本研究では、ヘアカラーリングに伴う主観的幸福感の変化と、笑顔をつくった際の表情変化との関連を検証しました。
オルチェは、表情の高精度な計測とコンピュータビジョン解析を通じて、本人が感じる幸福感の変化を、客観的な表情指標として捉えることに取り組みました。

 

【研究概要】

40~60代の女性48名を対象に、ヘアカラーリング施術の前後で、PERMA尺度による主観的幸福感と、笑顔作成タスクの動画から算出した顔特徴量を取得・解析しました。施術は、美容室での施術とセルフ施術の2つの方法で行われました。
その結果、主観的幸福感が高まった人ほど、口角の上がりや笑顔の強さを示す顔特徴量が大きくなる関連が確認されました。
さらに、頬の動きや撮影条件による影響を統計的に調整した後も、口角の上がりと主観的幸福感の高まりとの間には独立した関連が認められました。
これらの結果は、集団全体の平均値だけでは捉えにくい個人ごとの心理的な変化を、表情に現れる微細な変化から客観的に評価できる可能性を示しています。

 

【オルチェの研究協力】

オルチェは、本研究において、ヘアカラーリング前後の表情計測、コンピュータビジョンによる顔特徴量の算出、および主観的幸福感との関連解析を担当しました。

微細な表情変化を捉える、統制された計測環境

ヘアカラーリング前後のわずかな表情の違いを比較するため、照明、カメラ、顔の位置や角度、撮影時のタスクを統制した専用の計測環境を構築しました。
照明を制御した撮影ボックス内に、3840×2160ピクセル、フレームレート60pの高解像度カメラをハーフミラー越しに設置。顔の高さや向きを調整したうえで、鏡を見たときの反応や、他者を意識して笑顔をつくったときの表情を動画で撮影しました。
こうした撮影性能と条件統制により、時間とともに変化する表情の動きを細かく捉え、施術前後の表情を精緻に比較できるデータを取得しました。

表情動画を、比較可能な顔特徴量へ変換

取得した3840×2160ピクセル・60pの表情動画から、顔全体の動きが最大となる時点を検出し、その前後3秒間、計6秒間を解析区間として抽出しました。区間内の特徴量を平均化することで、一瞬の動きや画像上のノイズによる影響を抑えています。
さらに、顔の特徴点から口角や頬の動きを捉え、顔の大きさなどによる個人差を補正したうえで、口角の上がりを示す「口角リフト」、頬の動きを示す「頬リフト」、笑顔の強さを表す「SmileLift指数」などの顔特徴量を算出しました。
これにより、目視や一枚の静止画だけでは捉えにくい表情の変化を、施術前後で比較できる客観的な数値へ変換しました。

主観的幸福感と表情変化の連動を解析

算出した顔特徴量と、PERMA尺度による主観的幸福感の評価結果を、一人ひとりの施術前後の変化量として対応づけました。
その結果、集団全体の平均値には明確な変化が見られなかった一方、主観的幸福感が高まった人ほど、口角の上がりや笑顔の強さを示す顔特徴量も大きくなる関連が確認されました。
さらに、画像品質や頬の動きなど、解析結果に影響する可能性のある要因を統計的に調整し、それらを考慮した後も、口角の上がりと主観的幸福感の高まりとの間に独立した関連があることを確認しました。

感覚や印象として語られる変化を、客観的に検証

本研究では、主観的幸福感そのものを表情だけから測定したのではなく、本人が感じた幸福感の変化と、表情に現れた変化をそれぞれ数値化し、その連動性を検証しました。
高度に統制された表情計測とコンピュータビジョン解析を組み合わせることで、これまで「顔が明るくなった」「表情が変わった」といった感覚や印象として語られてきた変化が、実際の表情にどのように現れるのかを、客観的なデータに基づいて捉えた点が、本研究におけるオルチェの技術的な貢献です。

 

【研究の意義】

本人の実感と表情の変化をあわせて捉える

「気分が明るくなった」「幸福感が高まった」といった内面的な変化は、主に本人へのアンケートによって評価されてきました。
本研究では、主観的幸福感と動画から数値化した表情変化を一人ひとり対応づけ、両者の連動性を検証しました。主観を客観に置き換えるのではなく、本人の実感が表情にどのように現れるかを捉えるアプローチです。

感性的な価値を客観的な研究エビデンスへ

こうした「主観評価×客観計測」により、美容行為や商品・サービスによって生じる感性的な価値を、客観的なデータを含む研究エビデンスとして示せる可能性があります。
オルチェは今後も、高度な人間計測と解析技術を通じて、これまで感覚や印象として語られてきた人の変化を数値で捉え、美容・ヘルスケアおよびウェルビーイング領域の研究開発に貢献してまいります。

 

【学会開催概要】

【学会名】日本心理学会第90回大会

【会期】2026年9月4日(金)~9月6日(日)

【会場】東洋大学 白山キャンパス(オンライン併用)

【発表形式】一般研究発表(ポスター発表)

【演題】ヘアカラーリングによる主観的幸福感と顔特徴量の連動性

【著者】上田 純也(株式会社オルチェ人間情報技研)、荻原 実季(ホーユー株式会社)